【お仕事発見!!南大阪の輝き人】障がい者が地域で暮らすためサポート~ケアホームあいおい

今回の【お仕事発見!南大阪の輝き人】でご紹介するのは、大和川を挟んだお隣の住吉区のグループホーム「相生(あいおい)株式会社」で活躍する世話人というお仕事です。大阪市立大学にほど近く、南海高野線とJR阪和線が通る交通の便のいい住宅地が広がるエリアです。
訪ねた「相生」のグループホームは、一軒は一般的な一軒家の「ケアホームおりおの」、もう一軒は学生さんのシェアハウスとして使われていてたおしゃれな建物を利用した「ケアホームあいおい」でした。一般的な住居なので、施設らしからぬ普通の家庭の空気感がにじみでています。迎えてくださったのは代表の向井玄人さんと、世話人の貞松由美子さんのお2人。時刻はお昼の時間帯ですが、他に人の気配はありません。その理由はすぐにわかりました。

 

■人に「ありがとう」と言われる仕事

▲代表取締役の向井玄人さん。

――世話人さんとはどんなお仕事なのでしょうか?
向井:相生は障がいのある利用者さんのグループホームです。一軒につき4名から6名の利用者さんが共同で生活しています。利用者さんの生活のサポートがお仕事で、日中は利用者さんは働きに出ているので、お仕事は夕方から仮眠を挟んで朝までになります。
――なるほど、今はどなたもいらっしゃらない時間帯なのですね。お仕事としては具体的にどういうことをするのでしょうか
貞松:ご飯を作ったり、掃除をしたりといった普通の家事です。利用者さんは知的障害や精神障害の方なので、身体介護やオムツを代えるといった仕事はあまりなくて、せいぜい利用者さんによって、頭髪を洗うシャンプーのお手伝いをしてあげるとかぐらいですね。
――施設はいくつあるのですか?
向井:グループホームが4軒あります。すべて住吉区になりますね。

まだ若い向井さんですが、短い期間で事業を順調に拡大されています。一体どういう経緯で相生が生まれたのか詳しく尋ねてみました。
――向井さんが、このお仕事をされるようになったきっかけは何なのでしょうか?
向井:25才の時になります。当時、何もしたいことがなくて、何をやったらいいかわからず、人生に悩んでいたんですね。とりあえず就職せなあかんとホームセンターで働いていたのですが、職場の先輩が自殺をしたんです。それで人生を真剣に考えたんです。その頃、付き合っていた彼女が「あなたは優しいから介護に向いているんじゃないか」と言ってくれたのがきっかけですね。
――では、以前から介護の勉強をして、資格を取ってこの道を目指して……というわけではないのですね。
向井:最初は志があったわけではありません。資格もなかったので、まず作業所で働いたのですが、カルチャーショックでしたね。作業所で働く障がい者のお給料が月に2000円以下とかだったのがショックすぎて。自分自身の給料も安くて、これならホームセンターにいた方が良かったと後悔もしました。でも、人にありがとうと言われて……仕事でそんなことってなかなかないでしょう……この仕事いいなと思ってやりがいを感じるようになりました。利用者だけじゃなくて、利用者の家族にも感謝されて、人の役に立っているという楽しみがあります。

 

■親亡きあとのためにグループホーム

▲世話人の貞松さん。皆さん、向井さんの考えに共鳴し、応援したいという気持ちが強いそうです。

――作業所からグループホーム開設への経緯はどのようなものでしょうか?
向井:親御さんが子離れできないのですね。親御さんも次第に年をとっていく、自分が老いた時のことを家族も心配して、この子より先に死ねない、一緒に連れていきたいとおっしゃるのを聞いて、グループホームも必要だと思いました。私は従業員の立場でしたけど、立ち上げに参加させてもらったのです。経営されていた方も障がい者の保護者の方で、そういう思いもあって一緒に立ち上げたのです。当時は国の政策としても、山の中の施設から、地域で福祉をという方針になって、NPO法人など非営利団体には立ち上げの補助金が出たりしました。私たちも最初はマンションの一室を借りて、親が手弁当で月に一回か二回、宿泊訓練をするところから始めたのです。
――向井さんは、その方から経営を引き継がれたのですね。
向井:事業譲渡してもらって、二つの法人から引き継いでいます。障がい者の保護者が元々やっていたので、そういう親の思いも引き継いでいると思っています。非常に自由なやり方をしているので、もっときっちりしたいとおっしゃる世話人さんもいたのですが、独立してから親御さんの気持ちも少しわかってきました。
貞松:ここは基本「家」なんです。共同生活なので最低限のルールはありますけれど、皆の家としてアットホームにやっています。利用者さんも、お休みの日は毎週お小遣いをもらって遊びに行ったり買い物にいったり自由に楽しんでいます。
向井:暴力や引きこもりでどこの施設も入所を断られたような方も、ここに来て落ち着いたりもするんですね。
貞松:お正月もお盆も家に帰りたくないっていう利用者の方もいるのですよ(笑)。ここがおうちになった。
――それは、なにか特別な理由があるのでしょうか?
向井:そうですね。日々の世話人の愛情かなと思います(笑)
貞松:毎日状況は変わるのです。向井さんがすることを任せてくれているので、自分らで工夫して、その都度その都度連絡を取り合ってやっています。

――向井さんが世話人さんの自主性を大切にされていて、世話人さんも利用者さんの自由な行動を大切にされるから、「家」のようなグループホームになるのですね。今、相生のグループホームは4か所でしたね。
向井:今グループホーム自体が足りないのです。困っている人がいっぱいいます。入りたい人がたくさんいる。必要だから作ったといえば、それまでですね。ただ必要だと思う反面、人(世話人)が育たないと。

では、どんな人材が求められているのか。次は実際の世話人さんのお仕事について詳しく伺うことにしましょう。

 

■人間関係を大切に

 

――貞松さんはどういうきっかけで、相生の世話人になられたのですか?
向井:前のオーナーさんの紹介でしたね。お友達だった。それからだから、もう5~6年になるでしょうか。
貞松:そうですね。このお仕事はとてもやりがいがあるお仕事です。社長を応援したいという気持ちも大きくて、向井さんも息子みたいですし、利用者が可愛くてほっとけない。親御さんにお願いしますといわれたらね。実は私も姪っ子に障がい者がいたので、つながりはあるんです。
――お仕事の楽しさというとなんでしょうか?
貞松:やっぱり貢献、誰かのためになりたいという部分がありますね。利用者が毎日毎日お仕事から帰ってくると可愛いなと感じます。なかなか食べない方もいらっしゃるので、料理レシピもその人、その人に応じたりするのです。
向井:不思議なのですが、この世話人さんの料理だったら食べるということもありますね。
貞松:それは工夫ですね。レシピ通りにしないで、自分で工夫したり。みんなで買い物に行った時に、好きなおやつを買ってもらったりね。
――逆に大変なことはありますか?
貞松:おうちに帰りたがる人もいたりしますね。でも、何かあったら診てもらえるように病院と提携していて、歯医者さんやマッサージさんも来てくれたりで、私たちの家よりいいなと思ったりするのですけどね(笑)

 

――では、お仕事の環境はどのようなものでしょうか? スタッフは何名いらっしゃるのですか?
向井:現在、社員が3名、パートが18名です。勤務時間は夕方の4時から翌朝の10時まで。途中仮眠をとりながらになります。勤務時間の長いお仕事ですので、週3回とかになると体的にもしんどくなるので、細く長くやっていただくのが一番続くとは思っています。ただ、沢山入りたい方もいるし、やみくもに人を増やせばいいというわけでもないので、そこはしっかりと見させていただいてます。
――採用する際に重視するのはなんでしょうか? 資格などは必要でしょうか?
向井:資格は特に必要ありません。重視しているのは、やはり人間関係ですね。今いるスタッフと仲良く、うまくやっていける方。どの方を採用するかは、社員と貞松さんたちと話し合って相談して採用を決めるようにしています。
貞松:勤務は1人でこなすのですが、最初は先輩と入って仕事を覚えてもらいます。一緒に楽しくやっていきたいですからね。

――今後の相生の目標を教えていただけますか?
向井:今ではグループホームの利用者の中には、ホームレスだった人や、万引きをしていた人もいたり、私たちがグループホームを立ち上げた時とニーズも変わってきています。でも、利用者がだんだん自立できるようになってきたら、やっていてよかったなと思うのです。
ゆくゆくは親子で暮らせるグループホームを作りたいという思いもあるのですが、案外年を取ったら親子別々でもいいやという人もいて、ニーズがないかも(笑)
今、住吉区には50軒ぐらいグループホームがあるのですが、まだまだ不足しているんです。5年後までに相生のグループホームを10か所にしていきたいと思っています。
貞光:地域ナンバーワンを目指したいですね(笑)

 

今回は社長の向井さんと世話人の貞松さんが相席というスタイルでお話を伺いました。お互いが自然な敬意を払っている様子からも、利用者も従業員も大切にされるから「家」のような場が生まれるのだ思えました。きっかけになった向井さんの元カノさんは慧眼でしたね。
またお仕事内容も、これまで障がい者など社会的な弱者としてしかみられなかった人たちの自立を支援するお仕事であるとわかりました。多様な人が人として誇りをもって人生を送ることが出来るようになるというのは、とても社会的に意義のあることではないでしょうか。
まだまだグループホームが足りないとおっしゃる向井さんと一緒に世話人のお仕事にチャレンジしてみませんか?

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さかマガ12月号発行中
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