こんにちは編集長(ふ)です。
オープン前から注目していた堺区大浜公園近くの「申手延麺」さん。エアコン工事の不具合?や、生地の発酵が進みすぎるなどトラブルが続いて、せっかくの看板メニューの手延麺を提供できずにいました。
店長の曹さんが研究を重ねた担々麺は、手延麺じゃなくても、十二分に美味しいのですが、やっぱり手延麺を味わいたい。
「どうしてももとの味が出せない。私の努力が足りないんです」
と曹さんは悔しそうでした。手延麺の故郷であるシルクロードの蘭州の気候と日本の気候、蘭州の小麦と日本の小麦の違いに苦戦していたのです。
しかし、そんなこんなでオープンから数か月。一本の電話(本当は二回かけたらしい)がさかにゅー編集部にかかってきました。
「手延麺が出来ましたよ! ぜひ食べに来てください!」
もちろん、おっとり刀で駆けつけましたよ。
早速、曹さんの妙技を見せてもらいました。
手際よくステンレスの麺台を綺麗にすると、生地を手で細長くしていきます。
手のひらで平たくつぶしては、またまるくして……。
空中でぎにゅーんと伸ばします。いよいよ手延べがはじまったか! というのはちょっと早とちり。
わっかを作って……
回転する慣性を利用して、ぐるんぐるんぐるんとねじっていきます。巨大なツイストドーナッツとかが出来そうですね。
ぐるんぐるんをまた空中でぎにゅーんと伸ばして一本に。そして、さらに……
そして、またぐるんぐるんを作っていきます。
このぐるんぐるんびゅーん、ぐるんぐるんびゅーんの作業を何度か繰り返します。
麺台にたたきつけては、のばーす。
そして、丁寧に細く、これまでよりも慎重に細くのばしはじめました。
あやとりのように指に絡めます。いよいよはじまるっ!!
ぐにゅーん。伸ばした! 曹さんが伸ばした!
そして、さらに指をからめて……。
さらに伸ばした! この作業を5回繰り返します。6回だと担々麺には合わないのだとか。
最終局面。ずいぶん細くなっていますね。
ぎゅーんとのばして……。
どやっ!! 手延べで5分ぐらいかな。
両端を切り落としてゆでます。ゆで時間は30秒ほど。普通の麺が3分ほどかかるのに対して短くできるのは、これだけ丁寧に手延べをしているから。すぐに火が通るのです。
来ました。数か月と5分30秒待った手延担々麺です。
確かに食べてみると、独特の食感です。口から一言「うまっ」と漏れます。
ぐるんぐるんを繰り返したことで生まれた筋が何重にも織り込まれている。これはちょっと食べたことがない感触ですね。待ったかいがありました。
ちょっと調子に乗って箸揚げもしてみました。右手でカメラをもっているので、左手です。麺だけじゃなくて、全体撮らないとだめでしたね。ちょっと失敗。
でも、曹さんによると、これでも完成度は蘭州のものの90%ぐらいだとか。満足できていない曹さんに、「まず食べてもらいなさい」という常連のお坊さんからアドバイスがあって、提供することにしたのだとか。また当初は「中華そば」という暖簾にしていたのも、看板である「担々麺」に変えた方がいいというお客様のアドバイスがあって、今は「濃厚担々麺」の暖簾に変えたのだとか。
オープン数か月でいいお客様に出会えたのも、曹さんの実直な人柄あってのことかなと思います。
皆さんもぜひ手延担々麺を味わいに「申手延麺」に来てくださいね。ただ手延べを提供しているのは17時半以降で限定10食となっていますよ。