セルビスの商品やサービスの現場で実際に起こった心あたたまる「やさしいストーリー」

セルビスの商品やサービスの現場で実際に起こった心あたたまる数々の「やさしいストーリー」。

今回はある女性のお葬式の際に繰り広げられた感動の物語をご紹介します。

「CAN YOU CELEBRATE?」

「CAN YOU CELEBRATE?」 作者/株式会社セルビス メモリアル事業部 黒川玲子

私は、今でも忘れられない故人様がいます。その方は40代の女性で、子宮がんを患い、約1年半の闘病の末に最期はご自宅でご家族に看取られました。20年以上交際した彼氏との結婚を考えた直後に病気が発覚し、結局入籍はされなかったそうです。

喪主様は故人様の兄、他にご家族は故人様の母と姉で、仲の良いことがひと目で分かるご当家様でした。ご自身の最期をご友人達には見られたくないと言って、人知れず自分なりのお別れを済ませたあと、わざと友達を遠ざけるよう振る舞っていたそうです。

ご友人達にお話を伺うと、つれない態度を取られて故人様に嫌われてしまったのだと思っていたそうですが、弔問に駆け付けたご家族様からお話を聞き、その事実を知って棺を前に皆さん号泣していました。

式場には、思い出を残すために訪れた家族旅行の写真がたくさん展示されていました。抗がん剤治療で髪がなくなってしまった姿を隠すことなく、ご家族と一緒に笑っている故人様はとてもきれいな方でした。

故人様がお好きなアーティストの曲を流してほしいとCDをお預かりし、明るい曲が式場に流れる中、憔悴しているお兄様とは対照的に、穏やかな表情の彼氏さんがずっとそこにいらっしゃいました。ご友人たちが故人様を偲び泣いている中でも、彼氏さんはただ皆の姿を見守っていました。

預かったCDは通夜式の前も後もずっと式場で流していましたが、1曲だけ、担当者として式場で流してよいのか迷い、結局通夜では流さなかった曲がありました。

葬儀当日、時間は刻々と進み、お花を手向ける最後のお別れは深い悲しみに包まれ、皆が号泣している中、やはり一歩下がってただただ静かにその様子を見守る彼氏さんがいました。

いよいよ出棺の時間となり、最後に皆様に故人様へお声をかけるようご案内し、ご家族やご友人がそれぞれひと言ずつ言葉をかけていきました。私は、最後の最後にどうしても故人様と彼氏さんのお二人だけの時間を作ってさしあげたいと思いました。担当者としてそれがよいことかどうか迷いましたが、彼氏さんに棺のそばに行くようお勧めしました。そこで通夜では唯一流すことができなかった曲を流しました。“CAN YOU CELEBRATE?”です。

この曲が流れた途端、ご友人達は声を上げて泣き出し、それに促されるようにようやく彼氏さんが口を開きました。「あかん。俺の負けや。やっぱり泣いてしもうたわ」。そして「最後のチュウや…」と言って故人様にそっと口づけをされました。

その短くも愛情深い言葉には、お二人がどんな思いで残された日々を過ごしてきたのか、そしてどれほど強くお互いを思い、深くご家族やご友人達を思ってきたかが詰まっていて、そこにいる全員の胸に突き刺さりました。ご家族もご友人達も、ただただ泣きながらお二人を見守っていました。

最後にお二人の結婚式をしたいと思ったのは、担当者として踏み込みすぎたかと少し不安に思っていましたが、帰る間際、彼氏さんは丁寧にお礼を言ってくださり、明るく爽やかな表情で去って行かれました。

遺影の中の故人様の笑顔を、私は今も忘れることができません。


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